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「楽しく学ぼう!医療と福祉」みんなで支える地域包括ケア 第5回

 地域包括ケアシステムについての連載も、今回で5回目となりました。
動画コンテンツでご紹介する内容も、かなり具体的になってきていますが、今回の動画では、在宅生活を送る高齢者Aさんの、訪問看護と外来診療についてご紹介していました。

 一般的に高齢者(特に後期高齢者)の場合、誰も皆なにがしかの疾患を持っていて、病院などの医療機関とは切っても切れない関係にある、というイメージが強いものです。ですがこの地域包括ケアシステムが目指すものは、やはり脱医療であり脱病院にあります。
第4回では、新設された「地域包括診療料」の算定要件について解説しました。その中味を読み解けば、高齢者医療に対し政府が抱いている「思い」というものが見えてきます。

大きな目的は、以下の3点です。

  • 病名や治療目的を明らかにし
  • 治癒というゴールを目標に設定
  • その上で関連する他の疾患を予防する

 また、これらを達成するために、「主治医、看護師、薬局、その他の職種、行政などの機関」が、包括的に「見守る」仕組みが必要になってきます。

 さて、Aさんに対する在宅医療について、項目ごと検証してみましょう。

訪問看護

 訪問介護の目的は、在宅での生活状況を「見て」・「聞いて」・「感じる」ことで、「体調に異変がないか」・「きちんと服薬しているか」・「自宅にリスクが潜んでいないか」を観察することにあります。
 特に「病院」と名の付く施設であれば、複数の診療科があっても「1患者・1カルテ」方式を採用しています。ですから、Aさんのように「整形外科」と「内科」それぞれに主治医がいるようなケースでも、一冊のカルテに必要な診療録や情報が網羅されているわけです。当然、訪問看護の記録も外来診療の際に確認することとなります。それにより、定期受診の時にしか患者さんを診る機会のない主治医であっても、日常を知ることができます。

外来診療

Aさんは、高血圧症と脂質異常への治療に取り組んでいます。高齢者でもありますので、この治療には長期戦の構えが求められてきます。
外来診療では、主治医が聴診器を当て、血液検査の結果を精査し、必要に応じてレントゲン写真の画像をチェックして治療の成果や経過を確認します。それを踏まえ、今後の治療方針について、必要な見直しを加えていくわけです。その意味で、外来通院は治療におけるPDCAサイクルの一環である、といえるのかもしれません。
また定期的に健康診断を実施することも求められています。通常、病名から外れた検査はできません。医療保険の支払基金における査定で、厳しいチェックが入るからです。高齢者であればあるほど他の疾患に罹る可能性も高くなりますので、こうした定期健診をしっかりと行い、全体的な状態把握を経時的に見ていくよう努めるのです。

訪問リハビリテーション

Aさんの場合、基本的に骨折の治療は終わっています。ですが、痛みが残っているようなら、元気な方の足にかかる負担が大きくなり、再び転倒するリスクが残ります。
特に在宅生活の場合、病院と違い「段差」がある環境で暮らすことになります。訪問リハビリテーションの場合、そういった箇所を予めチェックしてもらい、手すりを付けるといった住宅改修のコンサルティングを受けられるというメリットもあります。
また、病院では少なからず周囲の人を気にするというストレスを受けながらの訓練になりがちですが、訪問なら伸び伸びと訓練に臨めるので、リハビリの成果をより高めることも期待できます。

 このように在宅生活を送る高齢者であっても、きめ細やかなケアを受けることができる上、予防という観点に基づき、その他の疾患から守ってもらえることにもつながります。この地域包括ケアシステムが実によく練り上げられた仕組みであること、ご理解いただけましたでしょうか。
 現在進められている来春の診療報酬改定に関する議論でも、この地域包括ケアシステムの重要性が、ますますクローズアップされてきているようです。

 次回動画コンテンツでは、Aさんが普段受けている訪問介護の内容を通じ、介護保険を利用して在宅サービスを受けている方の具体例をご紹介致します。医療と双璧を成して地域包括ケアシステムを支える在宅介護の実態、しっかりとチェックしてみてください。このWEBサイトとも合わせてご覧いただければと思います。
 次回動画コンテンツでは、介護度と受けられる介護サービスについて見ていきたいと思います。

【医療監修】
医療法人社団悠翔会
医師 理事長・診療部長
佐々木 淳