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「楽しく学ぼう!医療と福祉」みんなで支える地域包括ケア 第4回

 前回までの記事で、地域包括ケアシステムとは「医療」・「介護」・「行政」の相互連携による高齢者ケアの総称であり、全人的なケアを行うシステムであることを説明してきました。このシステム自体が新しい保険制度を形成したりしているわけではありませんので、一つ一つの機能に対する個別の理解を深めていくことが大切になってきます。
 今回は、動画コンテンツに例示したAさんが在宅で受ける一つ一つのケアについて、細かく見ていきましょう。

 現在、Aさんは以下のような状態になっています。

Aさん
  • 70歳
  • 都内に独居
  • 大腿骨頸部骨折術後 これから在宅生活に戻る
  • 高血圧症・脂質異常の疾患あり

ここから、Aさんが在宅生活で必要としていることを確認していきましょう。大きく分けて、以下3つの対策を行う必要があります。

  1. 骨折後のリハビリテーション

    【現状】
    骨折しているため転倒のリスクや足腰の筋力低下が懸念される
    【対策】
    入院していた病院からの訪問リハビリテーションを利用
  2. 高血圧症・脂質異常の治療

    【現状】
    動脈硬化や心筋梗塞などへの進行を予防する必要がある
    【対策】
    内服薬と食事療法
    【方法】
    1.外来通院…検査と食事指導
    2.訪問看護…見守りと服薬管理
  3. 生活援助

    【現状】
    骨折の影響で、腰をかがめるなどの動作が不便
    【対策】
    介護予防給付による生活援助サービスである、ホームヘルパーの介護予防訪問介護を利用

退院前における病院からの指示

  1. 訪問リハビリテーションを行うための「指示箋」が主治医により交付

    毎週1回理学療法士がAさんの自宅を訪問し、歩行訓練の指導を行う

  2. 訪問看護を行うための「指示箋」が主治医により交付

    毎週1回訪問看護師がAさんの自宅を訪問し、血圧の測定や、服薬状況の管理などを行う

Aさんに対する医療的見守り

 ここで、前回お話しました「地域包括診療料」の出番となります。

 前回もふれたように、病院や診療所が地域包括診療料を算定するためには、クリアすべき7つの基準が設けられていますが、なかでもポイントは以下の5つになります。

  • 固定化された主治医が診ること
  • 健康状態を経時的に管理できること
  • 在宅医療に対応できること
  • 24時間を含め急変時に対応できること
  • 介護保険と連動できること

 これらのポイントによって、Aさんに地域包括ケアがなされることとなります。まずリハビリテーションを継続することで歩行を安定させ、転倒のリスクを下げると同時に、高血圧症や脂質異常の治療を行います。並行して、かかりつけの医療機関が健康状態をしっかりと把握し、高血圧や脂質異常が次の疾患を招くことのないよう見守る体制をとります。これにより、医師や看護師といった専門スタッフが医学的視点からAさんをしっかりと見守ることができます。

Aさんに対する介護的見守り

 Aさんの要介護度は「要支援1」でした。つまり「介護予防」になります。介護予防の運営主体は市町村など、居住する地方自治体です。また動画コンテンツの中でも、地域包括支援センターのケアマネージャーがAさん宅を訪問していましたが、介護予防のケアプランの作成は、地域包括支援センターのケアマネージャーが行います。

 Aさんの場合は「要支援」ですから、作成されたケアプランに基づき「介護予防訪問介護事業所」のホームヘルパーが、定期的に訪問して必要な生活援助のサービスを提供していくことになるわけです。

 次回動画コンテンツでは、Aさんが普段どのような医療ケアを受けているのかについて、具体的にご紹介したいと思います。

【医療監修】
医療法人社団悠翔会
医師 理事長・診療部長
佐々木 淳