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「楽しく学ぼう!医療と福祉」みんなで支える地域包括ケア

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 日々の暮らしに欠かせない重要なテーマとなる「医療と福祉」。ここでは、昨今の政策を確認しながら、医療や介護の在り方について考えていきたいと思います。また、動画コンテンツと合わせてご覧いただくことで、より興味や理解が深まりますので、ぜひあわせてご確認ください。

 早速ですが、先日内閣府から、“骨太の方針2015(PDF)“が発表されました。
これは、「経済財政運営と改革の基本方針(PDF)」の通称です。

 要約すると、国の歳入をどのように増やし、また歳出をいかに削減して、借金まみれの国家財政を再建していくかについて立てた基本方針です。財政の立て直しには支出の抑制が不可欠であり、単なる無駄の削減だけでは限界があります。
つまり、社会保障問題にメスが入ることになりますが、この対象として医療も含まれています。仕組みそのものについて、見直すというよりは作り替えるといった気概も感じられるほど。まさに、構造改革そのままです。今や日本の医療費は40兆円目前にまで迫っており、国全体の借金は1,000兆円とも言われていますので、これはやむを得ないことかも知れません。

 とりわけ、先日首相官邸直下の諮問機関” 医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会 ” が6月15日に発表した第1次報告(PDF)には、2025年度までに、全国の入院病床数を《最大で20万床減らす》と明記されています。

 10年で20万床を減らすには、1年で2万床を減らすという計算になります。これは各都道府県から、200床規模の大病院が毎年2つずつ消えていくのと近い数字です。10年なら20もの大病院が、みなさんの身近から消えていくということになります。この発表がされたときには、医療関係の各種団体が一斉に反対の声を挙げました。

 さて、そうなると「いったいどうやって減らすのだろうか」「その20万人はいったいどうしたらいいのか」という素朴な疑問が生じるのではないでしょうか。その答えとして、この調査会は以下の見解を示しています。

「病院完結型の医療から、地域全体で治し、支える『地域完結型』の医療への転換の一環。患者の状態像に即した適切な医療・介護が適切な場所で受けられるよう、今回の改革とあわせて、地域包括ケアシステムの構築を進め、一層の医療・介護の連携やネットワーク化を図っていく」

 ここで注目すべきなのが「地域包括ケア」という新しい言葉です。
この言葉はまだ耳慣れない方も多く、「なんとなくわかるけど誰が何をどうケアするシステムだから『包括』と呼ぶのだろう」という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
 そこで昨年の診療報酬改定において創設された、この「地域包括ケア」という「医療・福祉一体のシステム」について、これから詳しく解説したいと思います。動画コンテンツとあわせてご覧ください。

 まず注目したいのが、”骨太の方針”に書かれている、以下の文言です。

4. 歳出改革等の考え方・アプローチ ⇒ [Ⅱ]インセンティブ改革  ⇒ (頑張る者を支える仕組みへのシフト、ニーズに適合した選択肢の提供)
「診療報酬・介護報酬を活用したインセンティブの改革を通じて病床再編、投薬の適正化、残薬管理、医療費の地域差是正等を促す」

 これにより、投薬の適正化・残薬管理を医療だけでなく、介護の分野においても注視していこうという流れだということがわかります。しかもそこにインセンティブ(目標達成へと仕向ける誘引剤)を与えるというのです。

 上記を大まかにまとめると、以下3点に要約できます。

  • 在宅に移行したお年寄りの投薬や残薬に関する管理を、訪問診療・看護のみならず訪問介護等の分野でも行う
  • 離床を促進して入院病床を減らし、高齢者が安心して在宅生活を送れるような制度をつくる
  • 医療費の削減に貢献した事業者に対し、保険給付の恩賞を与える

 動画コンテンツで例示したAさんは、お年寄りに多い大腿骨頸部の骨折でした。この場合、最も心配されることは、【入院 ⇒ 臥床生活による足腰の筋力低下 ⇒ 寝たきり】というパターンです。

 特に独り暮らしをしているお年寄りの場合、車椅子や歩行介助が必要な状態になると、在宅生活を送ることに大きな不安や不便が生まれます。またそれらは、ご本人と離れて暮らすご親族が抱く心配事でもあるといえるでしょう。
結果的に、不安を解消するための方策として、療養病床への入院という手段を選択するケースが増えてくることになります。

 ”医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会”が《20万床を減らす」と報告した背景には、上記のような理由があるものと予測されます。
これを言い換えると、「地域包括ケアシステムを構築すれば20万人の高齢者が在宅復帰できる」と明言していることになります。

 それでは次回以降、Aさんのケースを用いて【入院 ⇒ 退院 ⇒ 在宅】という流れをどのようなかたちで包括的に支えていくのか、さらに詳しく解説していきたいと思います。